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版画のエディションナンバーとサインの見方|プロが教える査定の方法と値段の実態

版画のエディションナンバーとサインの見方
目次

⏳ まずはここでチェック! 買取ポテンシャル即断チャート

「長い記事を読む時間は惜しい。とりあえず売れる見込みがあるか知りたい」

そんな方のために、私たち鑑定士が作品を見る際に最初にチェックするポイントをまとめました。これはあくまで「可能性の目安」ですが、プロの視点を簡易的に再現したものです。

Q. あなたの版画に、以下の要素はいくつ当てはまりますか?

  • 直筆サインがある(余白に鉛筆で書かれている)
  • エディションナンバーがある(例: 75/150)
  • 有名工房の刻印がある(例:Mourlotなどのエンボス印)
  • カタログ・レゾネが作成されている作家(草間彌生、シャガール、ビュッフェなど)
  • 制作年が古い(特に1980年代以前のオリジナル版画)

👉 2つ以上当てはまるなら、美術品として買取評価される可能性大!

自己判断で処分してしまう前に、一度専門家の目を通すことを強くお勧めします。

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⚠️ 鑑定現場でよくある「3つの誤解」

プロの査定士は、一般の方が重視しがちなポイントとは全く別の場所を見ています。

  1. 「額装が豪華 = 高額」ではない:立派な金色の額縁に入っていても、中身がポスター(オフセット印刷)であれば、買取価格はほとんどつきません。逆に、額がボロボロでも中身が本物なら高値がつきます。
  2. 「百貨店で買った = 資産価値がある」とは限らない:デパートの催事場で購入された「インテリア版画」の多くは、購入時の価格(プライマリー価格)に販売経費が大きく上乗せされています。売却時の価格(セカンダリー価格)は、シビアな市場相場で決まります。
  3. 「古い = 価値がある」は間違い:版画にとって経年劣化(シミ・ヤケ)はマイナス要素です。古くても「状態が良い」ことに価値があります。

版画の「数字」の意味 —— エディションナンバーの正しい読み方

版画の左下によく見られる「75/150」といった分数の数字。これは「エディションナンバー(限定番号)」と呼ばれ、その作品の市場流通量を管理するための重要な数字です 。

1. 分母と分子の意味

  • 分母(右側の数字): その作品が世界で合計何枚刷られたか(総部数)。この数字が小さいほど、物理的な希少性は高くなります。
  • 分子(左側の数字): あなたの作品の固有番号です。「150枚中の75番目」を意味します。

2. 「1番」や「若い番号」の方が高い?

「1/100は、99/100よりも価値が高い」という説がありますが、現代の版画市場においては、基本的に番号による価格差はつけないのが一般的です

リトグラフやシルクスクリーンでは、1枚目も100枚目も品質に差が出ないよう管理されており、刷り上がった後にランダムに番号が振られることも多いためです。

3. ローマ数字(I/XX など)の秘密

もし数字が「I/XX」のようにローマ数字で書かれている場合、それは通常版とは異なる「デラックス版(特装版)」の可能性があります 。 一般的に、デラックス版は高級な和紙(Japon Nacréなど)に刷られていたり、発行部数が極端に少なかったりするため、市場では通常版よりも高く評価される傾向があります。 (※ただし、作家や工房によっては単なる「別バージョン」として扱い、価格差がほとんどないケースも存在します。)


謎のアルファベットを解読する —— A.P.、H.C. とは?

数字の代わりに「A.P.」や「E.A.」と書かれている作品。これらは本来販売用ではなく、作家や関係者のために刷られたものです。

表記読み方・意味実際の買取査定での評価
A.P. / E.A.作家保存分
(Artist’s Proof)
作家が手元に残すために刷ったもの。
通常版と同等
「作家の持ち物だから高い」という話もありますが、物理的には通常版と同じため、基本的には同等の買取価値として査定されます。
H.C.非売品
(Hors Commerce)
画商への見本や寄贈用。
通常版と同等
現在は市場に普通に流通しており、こちらも通常版とほぼ同等の価値として扱われるのが一般的です。
P.P.刷り師への謝礼
(Printer’s Proof)
制作した職人へ贈られたもの。
状態良ければプラス
職人が自身の技術証明として大切に保管していたケースが多く、状態が良いものは高評価になることがあります。
T.P.試し刷り
(Trial Proof)
色や構図の実験段階のもの。
高評価の可能性
完成版とは色が違うなど「一点物」に近い性質を持つため、まれにコレクターから高く評価されることがあります。

⚠️ 現場でのリアル

「A.P.だから希少だと言われて高く買った」というお客様がいらっしゃいますが、売却時の査定では、通常番号(1/100など)と同じ基準で見られることが大半です。これが市場の現実です。

むしろ著名作家版画の贋作事件をきっかけに、「番号管理が明確ではない」といった理由で評価金額が下がる傾向すらあります。

そのサインは本物か? —— 直筆と印刷の決定的違い

版画の買取価格を最も大きく左右するのが「サイン(署名)」です。

1. 直筆サイン(鉛筆サイン)

刷り上がった作品の余白に、作家本人が「鉛筆」で直接書いたもの。

鉛筆(黒鉛)はインクと異なり半永久的に変化せず、紙の繊維の上に物理的に乗るため、作家が承認した証拠として最も高く評価されます。

2. 版上サイン(印刷されたサイン)

版(原版)の中に最初からサインが描かれており、絵と一緒に印刷されたもの。

左がベルナール・ビュッフェのリトグラフの印刷サイン(刷り込みサイン)。右が鉛筆サイン。

ポスターや複製画に多く、直筆サイン入りのオリジナル版画に比べると、査定額は大きく下がる傾向にあります(ケースによっては1/10〜1/20程度になることも)。

3. スマホでできる! サインの真贋チェック

ルーペがなくても、スマホのカメラで簡易チェックが可能です。

【手順】

  1. スマホのカメラをサインに10cmまで近づける。
  2. ピントが合う範囲で最大限ズームして撮影。
  3. 撮影した画像をさらに指で拡大する。

【判定ポイント】

  • 直筆の可能性大: 線に鉛筆特有の「光沢(テカリ)」や「粒状感」が見える。
  • 印刷の可能性大: 拡大すると、新聞の写真のような「規則正しいドット(網点)」が見える。

🔍 サインの真贋をもっと詳しく 版画のサイン鑑定ガイド|直筆と印刷を見分ける5つの方法 (準備中)

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状態(コンディション)が価格に与える影響

どんなに高価な版画でも、状態が悪ければ買取価格は下がります。

  • シミ(フォクシング): 湿気による茶色い斑点。軽度なら専門クリーニングで落ちる場合もありますが、マイナス査定です。
  • 波打ち: 湿度の変化による紙の歪み。これは比較的軽微なダメージです。
  • ドライマウント(裏打ち): 【要注意】 作品が台紙に完全に糊付けされている状態。ポスターのように扱われた証拠であり、美術品としての価値(紙一枚の状態であること)を損なうため、評価は著しく下がります。

版画の買取価格はいくら?|作家ランク別の相場目安

「リトグラフ 買取」などで検索してもピンとこない方へ。作家のランクや作品のタイプごとに、大まかな買取相場を表にまとめました。

価格帯作品の特徴代表的な作家・作品例
〜5,000円インテリア版画・ポスター無名作家、版上サイン、オフセット印刷、デパートの催事品など
1万〜10万円一般的な人気作家国内の人気画家、多作な作家の通常作品(ヒロ・ヤマガタ、平山郁夫の版画など)
5万〜50万円国際流通作家ベルナール・ビュッフェ、カシニョール、シャガール、藤田嗣治など
100万円〜希少作・美術館級パブロ・ピカソ、アンディ・ウォーホル、草間彌生(初期)、棟方志功、新版画の「初摺」など

※上記はあくまで目安です。同一作家であっても、人気の「全盛期シリーズ」か「晩年の作品」かによって、10倍以上の価格差が出ることも珍しくありません。正確な買取価格を知るには、個別の査定が必要です。


💰 相場を正確に知りたい方へ リトグラフ・版画の買取相場|人気作家の価格リスト (準備中)

版画を適正な価格で売却するためのステップ

ステップ1:作品の情報をメモする

  • 作家名
  • エディションナンバー(例:25/100)
  • サインの有無
  • サイズ

ステップ2:専門業者を選ぶ(最重要)

リサイクルショップは避けましょう。では、どのような買取業者を選ぶべきか? プロの視点でお伝えします。

【信頼できる業者の選定基準】

  1. 海外オークションの相場データを参照しているか?:国内相場だけでなく、クリスティーズなどの国際相場を知っている業者でないと、海外作家は安く買い叩かれます。
  2. 「カタログ・レゾネ」を完備しているか?:作家の全作品集(レゾネ)を持っていない業者は、正確な真贋判定ができません。
  3. 版画技法(リトグラフ、シルク、銅版画)の違いを説明できるか?:技法の違いによる価値の差を理解しているかどうかが、査定額に直結します。

ステップ3:無料の写真査定を活用する

いきなり店に持ち込まず、まずはLINEやメールで写真を送り、概算の買取査定額を聞くのがスマートです。

📱 基準を満たすおすすめの版画買取業者(無料査定対応)

1.古美術永澤

  • 選定理由: 目きき査定による確かな査定。美術館との取引や由緒あるオークションでの出品実績もあり、高額買取が可能。
  • 強み: 有名作家の版画から大量発行のリトグラフまで多様に対応可能。高額査定の実績あり。
  • 対応: LINE / メール / 出張買取→ 無料LINE査定はこちら(公式サイト)

2.獏

  • 選定理由: 絵画や版画をはじめとした美術品の査定が得意。
  • 強み: 海外オークション相場も参照し、価値を正しく見極める専門鑑定士が在籍。
  • 対応: 全国対応・宅配買取→ 無料査定を申し込む(公式サイト)

よくある質問 (FAQ)

Q1. サインがないと買取してもらえませんか?

A. サインがなくても、カタログレゾネに掲載されている作品で、状態が良ければ買取可能なケースは多いです。ただし、直筆サインありの作品に比べると査定額は下がる傾向にあります。

Q2. 額装のまま送って大丈夫?

A. はい、額装されたままで問題ありません。むしろ、慣れていない方が自分で額から外そうとすると、紙を折ったり破ったりするリスクがあるため、そのまま査定に出すことを推奨します。

Q3. 買った時より値段が下がるのはなぜ?

A. 画廊での販売価格(プライマリー価格)には、画廊の利益、作家へのロイヤリティ、展示会費用などが含まれています。一方、買取価格は純粋な「中古市場での需要(セカンダリー価格)」で決まるため、購入価格の1/3〜1/5程度になることが一般的です。

Q4. 複数の業者に査定を依頼すべき?

A. はい、強く推奨します。業者によって「得意な作家」や「現在の在庫状況」が異なるため、同じ作品でも査定額に数万円〜数十万円の差が出ることがあります。最低でも2〜3社で比較するのが理想的です。


まとめ:版画の価値は「プロの目」で判断を

版画の価値は、エディションナンバーの数字だけで決まるものではありません。作家の現在の市場人気、紙の状態、そしてサインの真贋など、多くの要素が複雑に絡み合っています。

「どうせ古いから」「シミがあるから」と自己判断で処分してしまう前に、一度プロの査定を受けてみてください。あなたの手元にあるその一枚が、次のコレクターにとっての「宝物」になるかもしれません。

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この記事を書いた人

【経歴】
大学で歴史や哲学を専攻
美術品・骨董品・古美術の業界で20年

【実務】
・一般顧客からの買取(主に出張買取や店舗での買取)
・美術品時価評価書の作成
・業者オークションでの仕入
・ギャラリーでの販売
・小規模の買取店などに美術品の鑑定方法や査定方法の指導
・買取業者・整理業者に対するLINEを使ったリアルタイム査定

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